村シリーズ
地域の伝統、手仕事、個性、発酵文化を感じさせるチーズをイメージするカテゴリー
香りや風味に特徴があり、チーズ好きに響く個性派。小さな村や地域に伝わる“物語性”を感じさせるチーズ。
代表的なチーズ例
ゴルゴンゾーラ、ロックフォール系ブルーチーズ、カマンベールAOP、ブリーAOP,、ウォッシュタイプ、シェーブル・羊乳
村シリーズ
古代ローマの街道を、軍団の兵士たちが進んでいく。
腰には剣、背には荷物、そして食糧袋の中には、保存性にすぐれた羊乳のチーズがありました。
それが、今日まで名を残すペコリーノ・ロマーノの原型です。
「ペコリーノ」とは、イタリア語で羊を意味するpecoraに由来する言葉。
つまりペコリーノ・ロマーノは、羊の乳から生まれた、ローマゆかりのチーズです。
その歴史は古代ローマにまでさかのぼるとされ、貴族の食卓を飾る一方で、長期保存ができ、栄養価に富むことから、ローマ軍の兵糧としても重宝されました。羊乳の濃厚な旨みと、しっかりとした塩味は、長い旅や遠征に耐えるための知恵でもあったのです。
やがて時代が移り、ローマの名を冠しながらも、その製造はラツィオ州だけでなく、サルデーニャ島やトスカーナ州グロッセート県にも広がっていきました。現在のPecorino Romano PDO/DOPは、指定地域で飼育された羊の新鮮な全乳を用いて作られる、保護原産地呼称のハードチーズです。
味わいは力強く、塩味は明瞭。
若い熟成では羊乳らしいミルキーな香りとコクがあり、熟成が進むにつれて、旨みは凝縮し、ピリッとした辛みや芳醇な余韻が現れます。
ローマ料理に欠かせない存在でもあり、カチョ・エ・ペペ、カルボナーラ、アマトリチャーナ、グリーチャなど、名高いパスタ料理の味の芯を支えてきました。
ペコリーノ・ロマーノは、単なるチーズではありません。
古代ローマの軍団、羊飼いの暮らし、地中海の乾いた風、そして食卓の知恵が、ひとつの塊に刻まれたチーズです。
削れば香り立ち、口にすれば塩味と旨みが広がる。
それは、ローマの歴史を今に伝える、力強い羊乳チーズなのです。

Pecorino Romano DOP
ペコリーノ ロマーノ
| 主な特徴 |
イタリアを代表する羊乳製のハードチーズです。しっかりとした塩味、濃厚な旨み、羊乳特有の力強い香りが特徴。古代ローマ時代から食されてきた歴史を持ち、現在もローマ料理には欠かせないチーズです。 |
| 種類 |
一般的には熟成度や用途で分けられます。比較的若いものはテーブルチーズ向き、熟成が進んだものは硬く締まり、すりおろし用に適します。ペコリーノには各地の種類がありますが、Pecorino Romano DOPは保護原産地呼称で定められた特定のチーズです。 |
| 原料 |
主原料は羊乳。Pecorino Romano DOPでは、指定地域で飼育された羊の新鮮な全乳を使用します。製造には乳酸菌、レンネット、食塩などが用いられます。 |
| 産地 |
名称は「ローマ」を意味しますが、現在の保護地域はラツィオ州、サルデーニャ州、トスカーナ州グロッセート県です。特に現在はサルデーニャ島での生産が大きな割合を占めます。 |
| 熟成期間 |
テーブルチーズとしては最低5か月熟成、すりおろし用としては最低8か月熟成が目安です。長期熟成品では、より硬く、塩味と旨みが強くなります。 |
| 栄養価 |
羊乳由来のチーズのため、たんぱく質、カルシウム、脂質を豊富に含みます。塩味がしっかりしているため、少量でも料理に強い旨みを与えます。塩分も比較的高めなので、調味料のように使うのにも向いています。 |
| 製法と熟成 |
羊乳を凝固させ、カードを型に詰め、加塩してから熟成させます。熟成中に水分が抜け、硬く締まった組織と濃厚な旨みが生まれます。Pecorino Romano DOPは、厳格な生産基準に沿って作られる保護原産地呼称チーズです。 |
| 風味と食感 |
味わいは塩味が明瞭で、力強く、芳醇。羊乳らしい香りとコクがあり、熟成が進むとピリッとした辛み、旨みの凝縮感、ほろほろと崩れるような硬質感が出ます。パルミジャーノよりも塩味と羊乳感が前面に出やすいチーズです。 |
| 食べ方と用途 |
そのまま薄く削ってワインのお供にするほか、すりおろしてパスタ、リゾット、サラダ、スープ、肉料理に使います。特にカチョ・エ・ペペ、カルボナーラ、アマトリチャーナ、グリーチャなど、ローマ料理には欠かせません。 |
| 保護と認証 |
正式名称はPecorino Romano DOP。英語ではPecorino Romano PDOと表記されます。DOP/PDOは、原料・産地・製法が定められた保護原産地呼称であり、指定条件を満たすものだけがこの名称を使用できます。 |
村シリーズ
ゴルゴンゾーラ ドルチェ DOP
■ 主な特徴
イタリアを代表する青カビチーズ「ゴルゴンゾーラ」の中でも、熟成を若いうちで仕上げたマイルドタイプ。
青カビの刺激が穏やかで、クリーミーな口どけとミルクの甘みが特徴です。
「ドルチェ」はイタリア語で“甘い・やさしい”を意味します。
■ 種類
- 青カビチーズ(ブルーチーズ)
- ウォッシュなし
- セミソフトタイプ
- ドルチェ(甘口・マイルドタイプ)
※対比される種類として、熟成が長く刺激の強い「ピカンテ」があります。
■ 原料
- 牛乳
- 塩
- 乳酸菌
- 青カビ菌(ペニシリウム・グラウクム系)
■ 産地
主にイタリア北部のDOP認定地域。
- ロンバルディア州
- ピエモンテ州
発祥の地は、ミラノ近郊の
Gorgonzola ゴルゴンゾーラ村。
■ 熟成期間
約50〜60日程度。
比較的短い熟成により、青カビの刺激を抑え、柔らかな食感と甘みを残しています。
■ 栄養価
(100gあたりの目安)
- エネルギー:約320〜360kcal
- たんぱく質:約18〜20g
- 脂質:約27〜30g
- カルシウム:豊富
- ビタミンA・B群を含む
青カビ由来の独特な旨味成分を持ち、少量でも満足感があります。
■ 製法と熟成
温めた牛乳に乳酸菌と凝乳酵素を加えて固め、カード状にした後、型詰めします。
その後、青カビ菌を内部に繁殖させるため、熟成途中で針を刺し、空気を送り込みます。
ドルチェタイプは熟成期間を短く仕上げることで、内部に水分を多く残し、とろけるような食感になります。
■ 風味と食感
- ミルクの甘み
- 穏やかな塩味
- 青カビのやさしい香り
- ナッツのようなコク
食感は非常にクリーミーで柔らかく、舌の上でなめらかに溶けるのが特徴です。
■ 食べ方と用途
- そのままワインのお供に
- はちみつや洋梨、いちじくと合わせて
- バゲットやクラッカーに塗って
- パスタやリゾットのソースに
- ピザやグラタンのアクセントに
白ワイン、甘口ワイン、軽めの赤ワインとも好相性です。
■ 保護と認証
DOP認証取得
Gorgonzola DOP は、EUの原産地保護制度により保護されています。
- 正式名称:
Denominazione di Origine Protetta(DOP) - 指定地域内で
- 定められた製法
- 認定原料乳
によって製造されたもののみ、「Gorgonzola」の名称使用が認められます。
