リズムはゆっくりと静かに優しく始まる。人の体をむき出しにした踊りは優雅で美しい。ボレロの曲と踊りは頭の奥に刻まれた。
そんな頃、ボレロの曲を民放のテレビ番組で聞いた。テレビのコマーシャルのバックグランドの音楽だった。ノルマンデーのなだらかな丘を背景に一台の黒い車が見えたり、見えなくなったりして近づいてくる。遠いバックにはノルマンディーの海に建つモンサンミッシェルの城が見える。曲はなだらかに流れ、ホンダの新車「プレリュード」のデビューコマーシャルだった。
チェスコの松平社長の率いる旅に参加して、フランスのカマンベール、イタリアのゴルゴンゾーラ、スイスのエメンタール、グリエールなどのチーズの故郷を訪ねる旅から帰った後のことだった。

この旅のさなかにすばらしいイベントに出会った。チェスコ松平社長と、新宿伊勢丹会館にある三笠会館シェフ森克明氏が、フランスチーズ鑑評騎士の会からシュバリエの勲章を授与される晩餐会が催された。ノルマンディーのカマンベール工場、エルビール社訪問の前日、クータンセという町で行われた。参加者一同でお祝いした。森シェフは叙勲のお礼に彼の創作チーズ料理「炎のサラダ」を振舞った。
その料理は、新宿の三笠会館で食べていた。お客様からのオーダーを受けると、頃合をみて照明がダウンする、ワゴンにはサラダの野菜、フランベのストーブが置かれている。当時のフロマージュ・ソースのレシピは、フィオレロ100g入り2個、ブルサン・ナチューレ50g、フルムダンベール50gとカルヴァドス90ccと教わっている。
チーズが次々に加わりカルヴァドスが加わって青い炎が立ち上がる。熱々のチーズソースが野菜に覆いかぶさる。見事な演出だ。チーズを使ってこんなに楽しませてくれる料理を創作する森シェフに拍手を送った。美しい料理は、当然おいしい。フルムダンベールの青カビは、繊細でチーズソースはしつこさを全く感じない、チーズと野菜のフレッシュなおいしさが飛び出してくる。クータンセの町で再び出会った「炎のサラダ」の料理は、一生忘れられない物となった。フランス人もみなさん大喜びであった。
松平社長と15日間部屋を共にして、チーズ談義をして、朝は早くから起きて二人でカメラを持って町に出かけ、パン屋さんやカフェに立ち寄る楽しい旅をした。始めての海外旅行であった。
ボレロとノルマンディーとプレリュードは、カマンベール・チーズやシードル、カルヴァドスとノルノンディーのお酒と結ばれてフランスのおいしページとなっている。




コメントする